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最高裁判所第一小法廷 昭和52年(オ)1339号 判決

上告人 検事総長 神谷尚男

上告人兼上告補助参加人 長谷川なか

被上告人 島田恵子

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人らの負担とする。

理由

上告人兼上告補助参加人代理人八木下繁一の上告理由第一点について

原審の確定したところによれば、被上告人と長谷川誠との協議離婚は、被上告人の意思に基づかない届出によつてされた無効のものであるというのである。このように当事者の意思に基づかない離婚届が受理されたことによる協議離婚は、その無効を確認する審判又は判決の確定をまつまでもなく、当然無効というべきであるから、右審判又は判決の確定前においても、無効な協議離婚後にされた婚姻の取消を請求することは許されると解するのが相当である。所論の点に関する原審の判断は、結論においてこれを是認することができ、論旨は採用することができない。

同第二点について

所論の点に関する原審の事実認定は、原判決挙示の証拠関係に照らして是認することができ、その過程に所論の違法はない。論旨は、ひつきよう、原審の専権に属する証拠の取捨判断、事実の認定を非難するものにすぎず、採用することができない。

よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条、九三条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 藤崎萬里 裁判官 岸盛一 岸上康夫 団藤重光 本山亨)

上告理由〈省略〉

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